企業の新規事業開発責任者から研究者へ転身した。消費者の声を聞き商品を開発するクラウドソーシングや、インターネットを活用したデジタルマーケティングを専攻する。
転機は大学卒業後に勤めた企業での人事異動だった。「新聞は読まず、マーケティングという言葉も知らなかったが、経営企画部に配属されて変わった」という。そこには大学院で学ぶ先輩もいた。刺激を受けて自身も神戸大大学院へ。「得た知識が仕事にも生きているという実感があった」
担当するマーケティングリサーチの授業やゼミナールの学生には、消費者の調査から企画、商品化に至る過程を実践的に学ぶように後押しする。ゼミは学生主体に運営し、サポート役に徹している。昨年は2年生を中心に、アーバンリサーチと共同でパーカを作った。法政大の英訳の頭文字「HU」とアーバンリサーチの「UR」を重ねた「HUR」のロゴをあしらった。「学生と企業の共創からは意図しないモノが出てくる」と感心する。
「リサーチの方法や消費者行動を理解して商品企画する方が面白い。実践しつつ学び、学びつつ実践する。学生には企業に入ってもそんな姿勢を持ち続けてほしい」と思っている。【金秀蓮】
■人物略歴
にしかわ・ひでひこ
1962年兵庫県生まれ。同志社大工学部卒。ムジ・ネット取締役などを経て2010年より現職。日本マーケティング学会副会長。
「@大学 ウチの教授 法政大 西川英彦さん 学びつつ実践、続けて」『毎日新聞』東京朝刊、2018年1月30日付け、p.19.
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