ユーザー・イノベーションの用語説明とケースです。ユーザー・イノベーションの用語定義からはじまり、それが埋もれた開発資源になっていること、その活用方法、そして消費者が専門家にまさるのはどういう状況か、を解説しています。
ユーザー・イノベーションを活用するクラウドソーシングのケースとして、「フェリシモ
ユーザー・イノベーション
「ユーザー・イノベーション」とは、ユーザーが直面する課題に対して、自らの利用のために製品やサービスを創造や改良することである。ユーザーは、個人ユーザー(消費者)だけでなく、ユーザー企業の場合もある。
だが、こうしたイノベーションの捉え方は、実は新しい見方だ。そもそも何百年もの間、実務でも研究の世界においても、イノベーションはメーカーが行うのが当然だと信じられてきたからだ。つまり、イノベーションを生み出すのはメーカーであり、それを使用するのがユーザーという位置づけであったのだ。
作る者を意味する「メーカー」という言葉や、使う者を意味する「ユーザー」、あるいは消費する者を意味する「消費者」という言葉を見ても、それぞれの役割の前提を示していたと言えるだろう。
こうした中、70年代になって、MIT教授のエリック・フォン・ヒッペルによって、はじめてユーザー・イノベーションの存在が明らかにされた。この研究がきっかけとなり、その実態が明らかとなり、多様な研究に発展した(続く…)。
西川英彦(2014)「ユーザー・イノベーション」『100万社のマーケティング』第1巻, 宣伝会議, pp. 64-67, 2014年11月29日