member 2010.2.24

【新聞掲載】「キャンパスNOW : Visit研究室 立命館大・西川ゼミ」『毎日新聞』

 ◇「自分も欲しくなる」商品開発
 滋賀県草津市の琵琶湖・草津キャンパスの一角。昨年の春から冬にかけ、西川英彦・経営学部教授のゼミ3年生は、演習室で「自分でも欲しくなる商品」のプロトタイプ(試作品)作りに没頭した。
 活動の中心は、大学ゼミ間の横断組織「Sカレ」(スチューデント・イノベーション・カレッジ)への参加。その「新商品開発コンペ」での上位入賞が彼らの目標だからだ。
 Sカレは06年開設で、09年度は13校が参加。大阪ハンドバッグ協同組合などの共催で、学生たちは5テーマで新商品を企画し、インターネット上の投票が商品化の候補を選ぶ。そのうえで、共催側メーカーが需要見込みや生産コストなどを踏まえ、完成品がネットで市販される幸運もつかめる仕組みだ。
 大学に移る前、消費者参加型新商品開発のネット事業を興した西川教授は強調する。「彼らはSカレのサイトで常に消費者と意見交換している。同時に、互いの競争意識が立案の内容を高める」。西川教授の指導と学生の頑張りで、ゼミはこの4年間、ずっと首位グループにある。
 例えば「応援グッズ」というテーマを選んだ藤本明恵さんらは、試験会場に持ち込める「懐中時計」を考案し、昨秋のプレゼンで65チーム中の1位。「お守り袋」入りの「努力を保証する保証書」付き。アイデアはメーカーでの試作品作りにまで具体化している。
 「枡(ます)技術商品」のテーマでは、後藤拓馬さんらが、最近増加中だという「お弁当男子」を意識したヒノキ製の巧緻(こうち)な枡型弁当箱を考案。新免沙織さんらは、階段状の棚側面の縦板を上に伸ばし、背の高いモノを置きやすくした棚を「木工家具」分野で提案した。
 北河良介さんらは本体下部に分割式チャックを付け、共に肩ヒモが付いた大小二つに分離できるリュックを考えて「かばん」部門の1位。「発案は去年の8月。草津のアパートでメンバーと議論中の夜8時ごろ、突然ひらめいた」と北河さん。
 松崎萌恵さんらは国内主要9社のデジタルカメラの約3割、167機種が収まる革製ケースを案出。手作業でプロトタイプを作り、カメラをケースに入れたままで撮影できる工夫を施した。間宮菜々子さんらは、バインダーや書類入れを手提げかばんのデザインに収めたA4判の「3Wayファイル」を考え出し、好評だった。
 6人はゼミ内の各チームのリーダーで、全員が就職活動中。メーカーの商品企画や市場調査部門を目指す学生が多い。昨年よりさらに厳しそうな今年の就活。西川教授は「Sカレで実学的な活動を続けてきた彼らは、私が言うのもナンですが、非常に優秀かつ有望です」と太鼓判を押した。【高田茂弘、写真も】

「キャンパスNOW : Visit研究室 立命館大・西川ゼミ」『毎日新聞』大阪朝刊、2010年2月24日付け、p.18.