column 2011.6.23

「オープンイノベーション ― “仲介役”受容する姿勢を:ナインシグマ・ジャパン(西川英彦の目)」『日経産業新聞』

 企業が社外のアイデアや技術を取り入れ、開発を加速させる「オープンイノベーション」の支援で成果を挙げている企業がある。オープンイノベーションを目指す企業同士の協業を仲介するナインシグマ・ジャパン(東京・千代田)だ。

 今月3日、同社の主催により、東レ、コニカミノルタホールディングス、サントリーホールディングス、デンソーなど十数社を集めた研究会が開かれた。各社がオープンイノベーションの成功例や課題を共有することが目的だ。こうした研究会は、昨年7月より、今回で4回目を数える。

 ナインシグマ・ジャパンは米ナインシグマの日本法人。ナインシグマは2000年に設立され、日本のほか、欧州にも拠点を持っている。ナインシグマ・ジャパンの顧客は現在、東芝、NEC、アサヒビール、三菱マテリアルなど約70社。顧客企業から依頼を受けると募集要項=写真=を作成。グループが持つ200万を超えるグローバル企業や技術者のデータベースの中から、対象となる技術を持っていそうな5000~1万にのぼる企業などを特定しメールで依頼し、両者のマッチングに着手する。

 そこでは、インターネットをフル活用するが、それだけで成果を得られるとは限らない。お見合いの仲人のような活動が重要となる。例えば、顧客企業の依頼内容を吟味し、顧客企業の抽象的な課題を社外から見て分かりやすい内容にする。さらに専門的な技術者による評価も必要だ。企業をリタイアし、技術に詳しく英語が堪能な20人のスタッフが、応募企業の評価を担当する。

 こうした少しおせっかいな取り組みを重ねたことで、ナインシグマ・ジャパンの仲介率は当初の5割から最近では9割に高まった。

 オープンイノベーションに限らず、様々なビジネスマッチングではネットが活用されているが、最終的にはおせっかいなくらいの仲介役の働きが不可欠だ。非効率に見えるかもしれないが、こうしたおせっかいを受容できるかどうかで、画期的な技術や製品の開発も左右されることになるだろう。

(法政大学経営学部教授)

西川英彦(2011)「オープンイノベーション ― “仲介役”受容する姿勢を(西川英彦の目)」『日経産業新聞』 2011年6月23日付け、 p.9.