column 2016.6.6

「新製品開発のカスタマー・エンパワーメントがもたらすブランド価値向上」『ブランドづくり、5つのヒント:ブランド・ジャパン企画委員からの提言』

 ブランド・ジャパンの企画委員が、それぞれ執筆したコラムです。ブランドとユーザー・イノベーションを関連させて書きました。

新製品開発のカスタマー・エンパワーメントがもたらすブランド価値向上 

 近年、企業内部の専門家だけの開発ではなく、多数の顧客参加による新製品開発を行う企業が増えている。無印良品や、レゴ、東洋水産、コクヨファニチャー、丸井、ニッセン、フェリシモなどが、それである。この現象は、顧客に新製品開発における業務の権限移譲、すなわち「カスタマー・エンパワーメント」といえよう(Fuchs and Schreier 2011)。

 こうして生まれた商品は、「創造性効果」をもたらすといわれる。製品自体に新規性を与え、高い販売成果をもたらすというのだ。「体にフィットするソファ」という大ヒット商品をカスタマー・エンパワーメントによって生み出した無印良品では、顧客創造製品が、企業創造製品と比べて高い新規性をもつだけでなく、高い売上高を上げている(Nishikawa et al. 2013)。無印良品の家具における、発売初年度売上高を比較したグラフを見ると上位に顧客創造製品が集中しているのがわかるだろう。両者の平均値を比べると、発売初年度では顧客創造製品は、企業創造製品の3.6倍高い売上高で、3年間経つと5.5倍高い売上高へと差がさらに広がる。

 話しは、これだけでは終わらない。新製品開発のカスタマー・エンパワーメントは、製品に新規性をもたらす創造性効果だけでなく、そのことを知った顧客からの企業評価を上げるという「ブランディング効果」も併せてもつからである(続く…)。

西川英彦(2016)「新製品開発のカスタマー・エンパワーメントがもたらすブランド価値向上」『ブランドづくり、5つのヒント:ブランド・ジャパン企画委員からの提言』ブランド・ジャパン、日経BPコンサルティング、2016年6月6日公開

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