paper 2013.6.1

“User-Generated Versus Designer-Generated Products: A Performance Assessment at Muji,” International Journal of Research in Marketing ( Finalist, 2013 Best Paper Award of IJRM )

Hidehiko Nishikawa, Martin Schreier and Susumu Ogawa(2013) “User-Generated Versus Designer-Generated Products: A Performance Assessment at Muji,” International Journal of Research in Marketing, Volume30, Issue2, pp.160-167, June 2013, referred

Finalist, 2013 Best Paper Award of the International Journal of Research in Marketing

「ユーザー創造製品 vs デザイナー創造製品:無印良品の成果評価」

要約:
 近年、多くの消費財企業が、新製品開発プロセスを活性化させるユーザー・コミュニティーの創造性を活かし始めた。企業内部の専門家だけでなくユーザーが新製品開発を行うという、こうしたパラダイム・シフトは、企業にとって非常に有望な開発として認められてはきたが、「ユーザー創造製品」の実際の市場成果を、「デザイナー(企業の専門家)創造製品」と体系的に比較する研究は行われてこなかった。

 こうした研究の空白領域に対して、本研究では、日本の消費財ブランドの「無印良品」から入手した、同時期に両資源(ユーザーとデザイナー)のアイデアからもたらされた独自のデータセットによる研究を行う。一般的に高い新規性をもつという「ユーザー創造製品」が、重要な市場成果指標において、比較対照となる「デザイナー創造製品」を上回っていることを明らかにしていく。

 具体的には、発売初年度の「ユーザー創造製品」の売上高は「デザイナー創造製品」に比べて3倍の成果を、そして粗利益においては4倍を上回る成果をあげていた。こうした影響は、時間とともに増加していた。3年後に、全ての「ユーザー創造製品」の累計売上高の平均は、「デザイナー創造製品」に比べて、12億5000万円も高い5倍もの成果をあげていた。同じく粗利の平均は、「デザイナー創造製品」に比べて、6億1900万円も高い6倍もの成果をあげていた。さらに、「ユーザー創造製品」は「デザイナー創造製品」に比べて、3年間を生き残るという可能性を持っていた(つまり、発売3年後にまだ市場で売られていた)。

 これらの調査結果は、市場調査から示唆されるパラダイム・シフトを明確に支持するものであり、新製品開発プロセスにユーザーアイデアの統合を検討する意義を、マネージャーに訴えるものである。最後に研究の限界の検討と、将来の研究のための重要課題を提示する。

キーワード:
ユーザー・デザイン、ユーザー創造製品、ユーザー・イノベーション、共創、顧客統合、クラウドソーシング、市場成果、新製品開発、アイデア創造

 

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